宝石珊瑚の歴史3 宝石珊瑚はシルクロード経由日本へ
装身具などの形になった宝石珊瑚が
シルクロードを通じて世界各国へ
もともと宝石珊瑚は地中海でのみ採取されていましたので
最初は、周辺のキリスト教国で珍重させるようになり
やがて、ロザリオやネックレスなどの形になった珊瑚装身具が
世界的な広がりを見せ、仏教の伝来とともに
シルクロードを東上して、8世紀ごろまでには、
わが国にも王侯貴族の宝物として
渡来したようです。
シルクロードを通じて宝石珊瑚が日本にまで
伝えられる間には、周辺の国々に
様々な形で珊瑚装身具を身に着ける習慣を
残しており、現在でも、ネパールやインドの
ラダック地方、パキスタンのカシュガル地方などには
宝石珊瑚とトルコ石を組み合わせた装身具が
代々受け継がれ、大切に扱われています。
15世紀ごろには、メッカ巡礼に集まるアラブの商人の
手によって、アフリカの各国やインドに珊瑚装身具が
広められ、現在でも、回教の国々などで広く親しまれて
います。たとえば、タスビスと呼ばれるイスラムの数珠は
宝石珊瑚で作られたものが年間数万本も
販売されているようです。
仏教においても、催事器具などに宝石珊瑚が
よく使用されてますが、このことは、仏教の経典で
珊瑚が金、銀などとともに極楽浄土を飾る「七宝」
として挙げられてきたことに由来するものと思われます。
わが国でも、古くから、仏教の七宝の一つである
珊瑚を魔除けに使う風習があり、
高知県幡多郡では、お守りとして幼児の手首に
珊瑚の数珠を持たせ、珊瑚が汗で曇る特性を
利用して、発熱を察知したそうです。
また、16世紀の中国の薬学書には
「珊瑚には薬効がある」と記されている
そうですし、ヨーロッパの各地やエジプト、
エチオピアなどのアフリカ、そしてインドなどでも
深海から産出する、宝石珊瑚は、神秘性のある
装身具としてだけではなく、医薬品としても
その効果が信じられていたようで、
カルシウム分の薬効を認めているネパールでは
現在でも、止血剤やカルシウム補給食品として
珊瑚を輸出しているそうです。
……宝石珊瑚の魅力より
2017-09-27