宝石珊瑚の歴史6 我が国の最古の珊瑚装飾品
2017/10/03
カテゴリー:
Coral・珊瑚(sango)
わが国に現存する最古の珊瑚装飾品は
三代将軍家光ゆかりの「初音の調度」
わが国に「宝石珊瑚」が登場したのは、
仏教の渡来と同じころであるといわれていますが、
制作者や伝来が明確で、現存するものは
江戸時代の寛永16年(1639年)に、三代将軍家光の
長女、千代姫が尾張徳川家へ嫁した時、婚礼調度の
中の厨子棚です。
これは、源氏物語に由来したデザインによる
「初音の調度」と呼ばれる国宝指定のもので
全体に岩や樹木の蒔絵が施されており
梅の花びらの部分に彫刻した宝石珊瑚が
貼り付けられています。
この彫刻は、わが国で宝石珊瑚が発見される
以前のものですから、必然的に、ヨーロッパから
輸入された地中海サンゴで作られたということに
なります。
長崎の出島交易でかなりの量の宝石珊瑚が輸入される
ようになり、印籠や煙草入れの根付、櫛かんざしの
装飾などにも珊瑚細工がみられるようになりました。
もちろん、当時、宝石珊瑚は貴重な品物ですから、一部の
富豪や特権階級の人々に使用されるに
とどまっていましたが、元禄(17世紀末)頃になると、
一般庶民の間にも珊瑚の緒締(おじめ)、根付が
流行するようになりました。
この頃でも、宝石珊瑚は相当な高級品でしたので
市中に出回っていたものは獣の骨などを染めた偽物が
多かったようです。
江戸時代が終わるころになって、ようやく、わが国でも
宝石珊瑚が発見されたのです。
2017-10-03