宝石珊瑚の歴史7 高知県は珊瑚生産の中心地
2017/10/04
カテゴリー:
Coral・珊瑚(sango)
19世紀に宝石珊瑚が発見されて以来
高知県は我が国の珊瑚生産の中心地
土佐藩で、文化10年(1813)に藩内に地理、産物などを
記録した文献である「南路誌」に、宝石珊瑚が室戸岬や
足摺岬周辺で産出することが記されていますので
このころにはすでに、その存在が広く知られていたようです。
天保年間(1830-1843)には、土佐藩で宝石珊瑚の
採取網が考案されましたので、当時すでに漁業として
宝石珊瑚が採取されていたようです。
しかしながら、土佐藩では、幕府への思惑もあってか
土佐藩の宝石珊瑚を秘密にしておきたかったようで
天保3年(1838)には珊瑚の所持や販売を禁止して
藩へ差し出すようお触れを出しています。
こうした藩の政策にもかかわらず、高知県西部で
歌い継がれた「密かに行っているサンゴ採取を口外しては
いけない」という戒めの童謡からも推察されるように
土佐藩の宝石珊瑚は、明治時代になってお触れが
無効になるまでの間、もっぱら密漁で採られていたようです。
わが国では、高知県で豊富に宝石珊瑚が採取されて
来たことを背景に加工技術などが伝承されてきたことから
現在でも、全国の珊瑚生産者の約8割が高知県内に
集積しています。
2017-10-04